糖尿病患者セルフケア支援ツール
糖尿病患者セルフケア能力測定ツール
活用方法
測定の前に..
これは、先に述べたセルフケア能力の要素の視点から、糖尿病患者さんのセルフケア能力を簡便に測定するための質問紙です。各要素5項目ずつですべてを網羅するものではないですが、多角的に患者さんを捉える一助となります。支援する看護師とともに振り返り、今後にいかすためのものです。
外来の待ち時間などに患者さん自身で答えてもらうことも可能ですが、できれば、一問一問看護師が患者さんに尋ねてみてください。その時に患者さんが話したことから患者さんの状況がつかめることも多々あります。項目の点数だけでなく、そこで話された内容も患者さんを知るための大切な情報です。
看護師から尋ねられると患者さんは自分の状態を素直に評価することができないかもしれません。遠慮や自己防衛を低減するため、「少しでも無理なく、よりよい自己管理ができるよう、支援したいので、遠慮なく、率直な思いや気持ちを話してほしい」ことを先に伝えておいたり、患者自身の発言に対して看護師の視点から良し悪しを安易に判断して、患者が本音を言えないような雰囲気を作らないよう心掛けることも大切です。
測定後..
得点だけを見てこうすべきと決めつけるのは危険です。まず、患者さんの測定結果の感想を聞いてみてください。患者さんとしてはどうしたい、どこが気がかりかを聞いてみて、改善したい点、気がかりな点があるようでしたら、そこから関わり始めるのが良いでしょう。
次に、得点の高いところを見てみましょう。日頃は自己管理出来ていないところに目が向きがちなので、この機会に、やれているところ、患者さんの強みを一緒に確認してみましょう。
相対的なバランスの中で、低いとこを改善するというのも一つの方法です。その要素の中で、得点が低かった項目について、どういう状況か詳しく聞いて援助につなげるのもよいでしょう。特に【知識獲得力】【ストレス対処力】の得点が低い場合は、まだ、自己管理を実施ができるだけの準備が整っていないのかもしれません。患者さんの関心に合わせて、必要な知識を提供したり、ストレスの原因について話し合うことから、始める必要があるでしょう。
Q&A
測定にはどれくらいの時間がかかりますか?
一緒に患者さんに確認しながら測定する場合、最初は少し時間がかかるかもしれませんが、慣れてくれば30分あれば十分です。患者さん自身に答えてもらう場合は、前後10分で答えられます。
どれくらいの頻度で行う必要がありますか?
セルフケア能力は、多角的に捉えるためのもので項目数も多いので、受診の度ということになると患者さんにも看護師さんにも負担になるかと思います。3か月~半年に1回、1年に1回測定して、その変化を見ながら振り返ることが出来ればよいのではないかと考えています。
ただ、教育入院の時などは、大きくセルフケア能力が変化する可能性があるので、入院時と退院時での変化を比較するのもよいと思います。
食事療法や運動療法とどう関連させればいいですか?
食事療法や運動療法がうまくいっていない場合、その原因は様々考えられます。
【自己管理の原動力】【身体自己認知力】【糖尿病ともに自分らしく生きる力】【ストレス対処力】【サポート活用力】が低い場合には、食事療法や運動療法を行う準備状態が整っていない可能性があります。「自分の糖尿病についてどう思っているのか。どう感じているのか」「心配事や気がかりなことはないか」「生活の中での生きがいや楽しみは何か」など患者さんとの会話の流れの中で聞いたり、把握したりしてみてください。
【知識獲得力】が低い場合には、食事や運動をどのように実行すればよいか、について十分な知識が得られていないのかもしれません。患者さんが疑問に思っていることを聞きながら、患者さんに必要な知識を患者さんが理解しやすい形で提供してみてください。
【モニタリング力】【応用・調整力】が低い場合には、患者さんがご自身の生活に食事療法や運動療法を取り入れるのが、難しいのかもしません。患者さんの日頃の生活を具体的に患者さんから教えてもらいながら、どこを工夫すれば、より実行しやすくなるかを一緒に考えていきましょう。その際にはその患者さんの生活の中で、血糖の流れ、患者さんと一緒に予測しながら進めることで、患者さんの【モニタリング力】を刺激して、患者さん自身が、判断したり、決定していけるプロセスを大事にすることが、患者さん自身での【応用・調整力】を高めることにつながります。
糖尿病患者セルフケア能力測定ツール
糖尿病患者さんのセルフケアに必要な能力を、支援する看護師と共に振り返り、今後に活かすための測定ツールです。<WEB版>をはパソコン、スマートフォン、タブレットでご利用ください。<PDFファイル>は印刷してご利用ください
研究や医療機関でご活用される場合は、誠にお手数ですが下記までメールにてご一報ください。
清水安子 shimizuy@sahs.med.osaka-u.ac.jp
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